
ウォーターフロント・リジエネレーション・トラスト
副理事長テビット・カーター
平成8年度目加共同研究プログラム
最終報告
1.この報告書は2週間に渡って行われた、日本の(財)港湾空間高度化センター(WAVE)と、カナダのトロントのウォーターフロント・リシェネレーション・トラストの共同研究プログラムの結果をまとめたものである。
この共同研究プログラムは、1996年9月にWAVEが神戸と東京で開催したシンポジウムに関連して行われたものである。シンポジウムでは、ノルウェーのオスロ、マレーシアのジョホールバル、オーストラリアのシドニーにあるダーリンハーバー、カナダのトロント、神戸、横浜などの都市におけるウォーターフロント開発の様々な経験が比較検討された。
そこで注目された点は、再検討中のウォーターフロントを再開発させるために様々な組織形態が採用されている一方、各都市のパブリックアクセスの再整備と、生活の質を向上させるという共通目的については、各国に強い共通認識が認められたことである。横浜やジョホールバル、トロントなどの場合はこの2番目の目標のため、都市の再建戦略の一貫としてウォーターフロントの再開発をあげている。
本報告書では主に、トロントとオンタリオ湖のウォーターフロント再開発の経緯と、共同研究プログラム実施中に見学した日本の6カ所のウォーターフロント、つまり北九州、博多、福岡、神戸、横浜、東京での再開発の経緯の比較を中心的に取り扱う。
本報告書は3部構成である。第1部はウォーターフロント開発の背景を知るため、カナダと日本の港湾管理システムを比較する。第2部はトロントと日本のウォーターフロント開発に対するアプローチを比較分析する。比較対象は管理上の枠組みと機構上の枠組み、公共部門および民間部門の果たす役割、地域社会や市民へ及ぼす影響、プロジェクトの立案と開発、ウォーターフロントの都市構造や周辺の地域との統合性についてである。結論部には、日本のウォーターフロントプランナーが自国に必要な高品質のウォーターフロントを提供しようとする際に役立つと思われる提案を載せた。
本報告書は、WAVEのためにウォーターフロント・リジェネレーション・トラストが1996年9月にまとめた事前レポート(1996年11月に2度行われた国際シンポジウム用にWAVEがこの日本語訳を作成した)を受けてそれを発展させたものである。
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